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事故発生から解決まで
交通事故にあった時から、解決までに、対応しなくてはいけない事項について説明します。
事故発生直後にすべきこと
交通事故発生直後に当事者がすべきことは、主に以下の5つです。
1. けが人の救護
2. 後続車両等の2次災害を防ぐための処置
3. 警察への届け出
4. 当事者同士で連絡先(住所・氏名・車のナンバー・加入している保険会社など)の確認
5. 保険会社への連絡
「けが人の救護」、「後続車両等の2次災害を防ぐための処置」、「警察への届け出」については、運転者に課せられた法律上の義務ですので、これを怠ると罪に問われる可能性があります。
「警察への届け出」を怠ると、保険会社に保険金の請求をする際の手続きに遅れが生じてしまいます。
「保険会社への連絡」については、約款(やっかん)と呼ばれる保険会社と契約者の間での約束事の中で、人身事故の場合は、事故後60日以内に連絡をするよう求めていることが多く、これを怠ると保険金が払われないこともあります。
加害者側が背負う3つの責任とは?
交通事故の加害者は、民事上、刑事上、行政上の3つの責任を負うことになります。
・民事上の責任
民事事件とは、一般の人(法律的には私人といいます)同士の間の争い事をいいます。
そして、交通事故における民事上の責任とは、加害者が被害者に対して、交通事故という不法行為により損害を与えたことを賠償することをいいます。
賠償の方法については、民法上は、金銭をもって賠償すること(金銭賠償の原則)になっています。
したがって、加害者と被害者は、「示談」と呼ばれる話し合いを通じて、損害賠償額を取り決めて、加害者はそれを被害者に支払うこととなります。
これについてはさらに後述します。
・刑事上の責任
刑事上の責任とは、事件を起こした加害者が国から刑罰を受けることをいいます。
交通事故の場合、他人を死亡させたり、怪我をさせたりといった、いわゆる人身事故を起こすと、自動車運転死傷行為処罰法に触れることになります。
また、それに加えて飲酒運転やスピード違反も起こしていれば、道路交通法にも違反することになり、さらに刑事上の責任が問われます。
物損事故の場合は、他人の家といった建造物を壊したときは、道路交通法116条「過失建造物損壊罪」に触れることになります。
刑事罰には、懲役・禁固・罰金などの種類があります。
・行政上の責任
行政上の責任とは、国の機関の一つである行政機関から処分を受けることです。
運転免許に関する事務を扱っている行政機関は、公安委員会です。
一般的に、車の運転に代表されるような他の人に重大な影響を及ぼす恐れのある行為については、誰でも許可されているわけではなく、行政機関からの免許が必要となっています。
運転免許もその一つです。
したがって交通事故による行政上の責任というのは、運転免許を持つものとしてふさわしくない行為をした者に対する制裁をいいます。
具体的には、違反行為に応じて、違反点数が加算され、それにより免許の停止や取り消し、反則金を科せられたりします。
民事上の問題を解決するには?
警察には、民事不介入の原則というものがあります。
つまり、警察が交通事故被害者のために損害賠償請求の交渉を行ってくれるわけではなく、被害者となった人自らが解決に当たらなくてはなりません。
交通事故の場合、損害賠償額は高額になることが多く、加害者の資力だけでは賠償できない事態が起こるのは容易に考えられます。
そうなった場合、一番困るのは被害者側です。
そのために「自動車保険制度」というものが用意されています。
また、当事者間で民事上の責任を話し合って解決する手段を「示談」といいます。
では次にこの二つについて説明します。
・自動車保険制度とは?
高額になりがちな交通事故の損害賠償のために自動車保険制度が用意されています。
この保険は「強制保険」と「任意保険」の二種類があります。
強制保険とは、自賠責保険とも呼ばれているもので、加害者の資力の有無に関わらず、被害者が損害に対する最低限の補償を受け取れるようにという趣旨で用意されている保険です。
自賠法という法律に基づき用意されている保険であり、車の所有者は必ず入らなければならないこと(強制加入)になっています。
一方、任意保険は、民間の保険会社が発売している保険のことで、その保険に入るか入らないか、どのような補償内容の商品を選ぶかは、生命保険や医療保険など同じく契約者が自由に決めること(任意加入)ができます。
両者の関係は、自賠責保険で賄いきれなかった分を任意保険がカバーするという関係になっています。
したがって任意保険でも賄いきれなかった場合には、加害者が、自分の預貯金・その他の資産をもって被害者に賠償しなければなりません。
・示談とは?
示談とは、被害者と加害者が解決に向けて、裁判所が関与しない方法で話し合うことです。
民事上の責任は、お金による賠償(金銭賠償)が原則ですから、交通事故の場面での示談とは、損害賠償についての話し合いになります。
ここで気をつけなければならないのは、示談の場合は、公平な立場で仲裁に入ってくれる人がいるわけではないということと、被害者と加害者に不法行為による損害賠償についての正確な知識が必ずしもあるわけではないということです。
これらは、しばしば示談交渉がうまくいかなくなる原因となります。
このような事態を避けるためには、示談交渉の代理人を弁護士に依頼するのが一つの方法として有効です。
示談が成立すれば、加害者側の保険会社から保険金が被害者に支払われて解決となります。