事故発生後の対応

交通事故に遭遇すると、誰でも気が動転するものですが、そういった時こそ落ち着いて一つ一つ対処していくことが大事です。

ここでは、交通事故発生後にとるべき対応についてわかりやすく説明します。

事故発生後の対応

事故発生後にすべきこと

交通事故発生後に当事者がすべきこととしては、以下の項目が挙げられます。

1. けが人の救護
2. 後続車両等の2次災害を防ぐための処置
3. 警察への届け出
4. 当事者同士で連絡先(住所・氏名・車のナンバー・加入している保険会社など)の確認
5. 証人の確保
6. 医師の診察を受ける
7. 保険会社への連絡


これらについて順に説明します。

けが人の救護

交通事故を起こした場合は、運転者はすぐに車を停めて、車の損傷の程度や、けが人がいればそのけがの具合を確認しなければなりません。

けが人の救護

次に、けが人の救護をしなければなりません。

これらは、道路交通法(道路交通法第72条第1項前段)に定められた運転者に課せられた緊急措置義務の一つです。

応急救護処置としては、けが人を車から救出することや、安全な場所に移動させること、そして、119番の通報などの行動は基本的なものとなります。

加害者は、十分に被害者のけがの程度を確認しなければなりません。

そして、被害者が全くけがをしていないことが明らかであったり、けがの程度が軽く、被害者自身が病院に行くことを拒否した場合を除き、一見けがの程度がたいしたことがないように見えても、加害者自身で、病院に連れていき医師の診察を受けられるようにするか、あるいは、救急車を呼び、その到着まで被害者に付き添うことが必要となります。

そのほか、状況によって、可能であれば心肺蘇生等の応急救護処置も行いましょう。
これにより、死亡率が格段に下がることはデータからも明らかです。

例えば、呼吸が停止した場合は、10分間何も処置をしないと死亡率が約50%となっており、心臓が停止した場合は、3分間何も処置をしないと死亡率は約50%となっています。
これは言い換えると、なるべく早く処置をすれば、亡くなる人を減らせるということです。

なお、人身事故の場合で、けが人の救護を怠った場合は、ひき逃げと同様に扱われ罪が重くなります。自分の運転で、他人にけがをさせたり死亡させてしまったのであれば、10年以下の懲役、または100万円以下の罰金に処せられます。

2次災害を防ぐための処置

事故現場で第2、第3の事故が発生することを防ぐための処置も緊急措置義務の一つです。

2次災害を防ぐための処置

特に夜間の場合は、暗く視界が悪いですから、後続車の目に留まりやすいように、発煙筒などを使用して、前方に故障車が停まっていることや、交通事故現場があることを知らせる必要があります。

また、事故車両の積み荷などが路上に散乱して、通行の妨げとなっている場合には、これを放置せず、後続車の邪魔にならないように移動することも必要となります。

警察への届け出

警察への届け出も、道路交通法(道路交通法72条1項後段)に定められた運転者の義務の一つです。「事故報告義務」と呼ばれます。

警察への届け出

物損事故・人身事故にかかわらず、直ちに警察に連絡しなければなりません。

たとえ気が動転したのであれ、事故現場を離れてしまい一度自宅へ帰ってから報告したり、または急いでいた途中での事故だったからといって他の用事を済ませてから報告したのでは、直ちに報告したことにはなりません。

連絡方法は、その場で110番をするのが一番適切でしょう。運転者がけがをして連絡できない時は、同乗者がいれば、その者がしましょう。

この事故報告義務を怠った場合には3か月以下の懲役又は5万円以下の罰金に処せられます。(道路交通法119条1項10号)

 なお、警察への届け出は法律上の義務であるというだけでなく、これを怠ると自賠責保険・任意保険を問わず保険金を請求する際の必要書類である「交通事故証明書」の交付に支障が出ますので必ず行ってください。

当事者同士で連絡先を確認する

これは特に被害者側が気を付けておくべきことになります。

当事者同士で連絡先を確認する

次の事項について、相手方に、車検証や運転免許証を提示してもらい確認をしておきましょう。

・事故を起こした車について―車の所有者・車体番号など
・運転者について―住所・氏名など
・保険関係について―自賠責保険の保険証券番号と契約している任意保険及び保険証券番号など


その他、相手方の勤務先も確認しておきましょう。加害者が仕事中の事故であれば、雇い主も賠償責任を問われるからです。

証人の確保

後日、被害者と加害者の間で言い分が食い違ってしまい争いとなった時のために、通行人などの第三者で交通事故の目撃者がいれば、その証言を記録しておきましょう。

証人の確保

また、目撃者に証人としての協力をお願いできそうならば、住所・氏名も教えてもらっておきましょう。

人間の記憶は時間とともに薄れてしまうものです。自分でも記憶が鮮明なうちに、事故の状況を記録しておきましょう。可能であれば、スマートフォンのカメラなどを使って様々な角度から事故現場の写真を撮っておくのもいい方法です。

医師の診察を受ける

人は、交通事故直後という日常では経験することのない状態では、一緒の興奮状態にあります。したがって、けがをしていても痛みを感じないことがあります。

その場ではたいしたことはない、どこもけがをしていないと思っても、実は大きなけがをしていたことが分かったということもあります。

そうなった場合、あまりに事故から時間が経ち過ぎると事故との因果関係の証明が難しくなることもあります。そうならないためにも速やかに医師の診断を受けましょう。

保険会社への連絡

まず、自分が加害者である場合は、保険契約上、保険会社への通知義務があります。

特に任意保険の場合は、事故の翌日から60日以内に保険会社に通知しないと通知義務違反であるとして、保険金が受け取れなくなる場合があります。

また、あとになって自覚症状が出てきて、けがをしていることが判明した場合、保険会社に連絡をしていなければ、困ることになります。必ず連絡をしておきましょう。